眉月じゅん「恋は雨上がりのように」

Raindrops on roses

薔薇の上の雨の滴

And whiskers on kittens

子猫のひげ

Bright copper kettles

ピカピカの銅やかん

And warm woolen mittens

ふかふかのウールのミトン

Brown paper packages tied up with strings

ひもで結わえた茶色の小包

These are a few of my favorite things

それがわたしのお気に入り―

ご存知。ミュージカル
「サウンド・オブ・ミュージック」より
劇中歌「My Favorite Things」
(邦題:わたしのお気に入り)の一節。

ジャズのスタンダード・ナンバーとしても
有名ですが、なにより日本人にとっては
JR東海の観光キャンペーン

「そうだ 京都、行こう。」

のCMで流れるあの曲と言ったほうが
話が早いかもしれませんね。(笑)

今回あたらしく設置するカテゴリー
「わたしのお気に入り」では
わたくしワタローのおすすめする
「My Favorite Things」をノンジャンルで
紹介していきたいと思います。

第一回目となる今回は漫画コミックス。

「恋は雨上がりのように」

作者:眉月じゅん
小学館:ビッグコミックス
全10巻

を取り上げたいと思います。

恋は雨上がりのように

どんな作品?

今年1月からはフジテレビ系列
「ノイタミタ」でアニメ化。

そして間もなく5月25日には
小松菜奈・大泉洋主演で
実写版映画の公開が控えている
今注目のこの作品。

読んだことはなくてもタイトルは
聞いたことがあるという方も
多いのではないでしょうか?

ちょっと待って。
ストーリーは知らないけど
タイトルからしてこの話って
きっと恋愛モノでしょう?

そんなのなんでワタローみたいな
オッサンがおすすめしてくるの?
キモチワルイ!

・・・まあまあ。
誰がおすすめしようと
良いものは良いんです。

それにオッサンだからこそ
おすすめする理由ってのも
ちゃんとあるんです。

何故ならこの話は
17歳の高校生「橘あきら」が
バイト先の冴えない中年店長
「近藤正巳」45歳に
真っ直ぐな恋をするという
青春ラブストーリーなのです!

女子高生から告白される中年男の話?
なにそれ。余計キモチワルイって?
もういいです。すみませんね。(笑)

45歳と17歳

確かに年の近い近藤に
自分を重ねる部分がある事は
否定しませんが、それよりなにより
作中で描かれる17歳の輝きたるや!

17歳の少女に好意を抱かれて戸惑う
作中の近藤と同じように
「ああ、俺にもこんな時代があったんだな」
と懐かしく、眩しく思うと同時に
忘れかけていた胸の痛み・疼きを
むし返されるような思いで読みました。

主人公の女子高生「橘あきら」17歳は
短距離走で記録を持ち将来を嘱望された
陸上競技の選手でしたが高校一年の時に
練習中アキレス腱を断裂。

絶望していたアキラの前に偶然現れた
ファミリーレストランの店長「近藤正巳」
(45歳バツイチ)に恋心を抱くようになり
近藤の店でアルバイトを始めます。

はじめは扱いの難しい多感な時期の
女子高生アルバイトの一人として
あきらと距離を感じていた近藤。

一方あきらも働くようになってはじめて
近藤に離婚歴があり、小学生の子供も
居ることを知ります。

しかしある事件をきっかけに2人は急接近。
あきらに嫌われていると思っていた
近藤はホッと胸を撫で下しますが
あきらは自分の本当の想いに気づかない
近藤に苛立ちを覚えます。

そして強い雨の降るある夜・・・
ついにあきらはその想いの丈を
ストレートに近藤にぶつけます。

koiame

恋は雨上がりのように 1巻より引用

作中の近藤は17歳の情熱的な恋に
戸惑いながらも、大人としてきちんと
その想いを受け止め対処しようとします。
決して勢いに任せて軽はずみな行動を
起こすようなことはしません。

ですがそんな近藤もしだいに
17歳という若さの持つ熱量に感化されて
内側から少しづつ変わっていくのです。

果たしてどんな結末を・・・

先に完結したアニメだけ見たという方も
いらっしゃるかもしれませんが
結末がやや唐突で尻切れトンボに
感じた方もいらっしゃるかもしれません。

そして原作はどんな結末を迎えたのか
気になっていらっしゃるかもしれませんね。

しかし最初に言ってしまいますが
この漫画原作の方もあまりスッキリした
終わり方にはなっていません。

一応最後にはアキラの出した答えが
描かれていますが、読者の中には
「え?それで終わり?」みたいな
印象を受ける人もいるかもしれません。

それにあきらと近藤の物語の他にも劇中では
いくつかの人間模様が描かれるのですが
そのどれも、結局どうなったのか
あいまいなままストーリーは完結します。

なんとなくモヤモヤとしたすっきりしない
終わり方に不満を持つ方も
いらっしゃるかもしれません。

ですが私はそこがまたこの作品の
良さなのではないかと思うのです。

作中の登場人物達はみんな
自分の胸の中のある想いに向き合った時に
戸惑い、迷い、自分の気持ちに正直に
生きられるよう正しい選択をしようとします。

しかしそうやって導き出した答えも
必ずしも幸せな結果だけを残すわけではない。
どうしてもやりきれなさは残る。

私達の経験してきた現実の
様々な人間模様だって本当に
白黒ハッキリつくような事なんて
実はそんなにない。

みんな少しでも良く生きようと
懸命に考えて答えを導き出すのに

傷つくことからは逃れられない。
むしろ確かな答えなんて出ないまま
全てが曖昧なまま過ぎ去っていく。

 

・・・ただ胸に小さな疼きだけを残して。

 

そんな所が私がこの作品が好きな理由です。

 

間もなく公開となる実写版映画は
どのような結末が描かれるのか楽しみですが
どんなストーリーになるにしろ見終わった後

薄曇りの雨上がりの空の隙間から
一筋の太陽の光が指すような

そんな爽やかな気分になれる映画に
仕上がっていることを期待したいですね。

 

以上で私なりの作品レビューを終わります。
気になった方はぜひ読んでみてください。

このサイトを一人で切り盛りするオタク気質な二児の父。自分の好きなもの、興味のあることをとにかく人に薦めたがります。